このカップを使うたびに、思い出す物語
このカップは、山水をテーマに描かれた、NIKKO陶器のデザインです。
ウイローパターンと呼ばれたこのデザイン。
ダブルフェニックス
と呼ばれています。
そうです、
2羽の不死鳥。
この絵には、悲恋の物語が隠されているんです。
中国の、富豪の穢れのないお嬢様が、身分違いの男性と恋に落ちてしまいました。
父親は、引き離そうと別の男性に嫁がせようとします。
ついに、結婚式の日に、二人は手を取り駆け落ちを。
あのサイモン&ガーファンクルの音楽の映画、「卒業」みたいです。
二人とは、まさにダスティン・ホフマンとキャサリン・ロス。
エレーンの結婚式の日、ベンジャミンは結婚式場にのりこんで。
ただし、彼は彼女の母親と関係があり。。。。うーんやや複雑。
真実の愛に気づくという、10代の時に見たのでは衝撃的な映画でした。
すみません、話を、山水の中国に戻します。
二人は、駆け落ちはしたものの、激怒した父親は執拗に彼らを追い詰めました。
富豪ゆえのプライドもあり、娘を許せなかったのでしょうか。
そしていよいよ、二人は捕まってしまいます。
離れるくらいならと、ついに死を選ぶ二人。
ロミオとジュリエットのような、悲恋のお話。
この物語を知ってから、ますますこのカップが好きになってしまいました。
よく見ると、カップには3人の人が描かれているんですね。
そして、不死鳥が2羽います。
結ばれなかった二人は、愛の不死鳥(ダブルフェニックス)となって
永遠の愛に結ばれている、という
とても悲しい悲しい愛の物語なんです。
そんなことを、使うたびに思い出しては、話してしまいます。
年をとると、こういう話に本当に弱いですね(涙)
身分の差、人種の差、すべてなくなればいいのに。
我が家の歴史の一コマ
この、ニッコー食器のカップは、私が小学生の頃にうちに届いたお中元がお歳暮です。
箱を開けた瞬間から、私はこのカップに取りつかれてしまいました。
色合い、絵柄、そしてデザインのバランス。
大げさですが、この出会いが、私が芸術や美術に傾倒していった入り口の一つであった
のかもしれません。
完璧すぎる。。。。
誕生日は、父がコーヒー豆を挽いて、これを使ってコーヒーと不二家のケーキ🎂
また、お客さんが来ると、このカップの出番です。
そして両親が亡くなって、実家の整理の時に、オールドノリタケのティーカップと一緒
についに!私のところにやってきました。
2カップだけ、あの時あまりの汚れに、捨ててしまったのが悔やまれます。
現在4カップ、あります。
そして、更なるサラの悲劇が。
息子が、食器棚にぶつかったときに2枚の皿が落下。
1枚は、粉々でカンゼンアウト。ありがとうさようなら~
もう1枚は、まっ2つに割れたのですが、瞬間接着剤でつなげて何とか修理。
金継ぎ、で直そうかと覚悟したのですが、表はとてもきれいにくっついてます。
ということで、現存は、ソーサーが5枚、カップが4個。
ソーサーは、カップを置く凹凸が何もなく平たいので、皿として使っています。
ですが、さすがに50年物。古いんですね~
白い部分に貫入(かんにゅう)と呼ばれる、ひび割れがたくさん出ています。
貫入は、上薬にひびが入った状態のことで、装飾ともいわれ、一応製品には問題なしと
言われています。
この時代の、素材や製法の問題なのでしょうね。
少しデミタスのこのカップ。
ベトナム式に、コーヒーを頂くときにもよく似合います。
コーヒーの細かめの粉をフィルターを使わず、抽出し、甘いコンデンスミルクを入れて
頂きます。
思い出の詰まったモノは、なかなか処分できません。
まだしばらく、このカップも使い続けるつもりです。
さて、アイスコーヒーでも入れて涼もうかな。
それでは、Saludos!!!