saludos60のブログ

ついに60代になりました。いいことも悪いことも一日一日を楽しんで暮らしています。

サリーの耳鳴りの話

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青い空の小さな町。

耳鳴りがすると、何かが起こる、という、ある少女のお話です。

サリーという名前の少女は、学校でいつも一人ぼっちでした。

 

ある日、サリーはクラスメートに仲間外れにされて、学校を飛び出してしまいました。

みんないなくなってしまえばいい。

歩いて歩いて、うんと遠くに行きたい。

こんな学校、こんな町、もういや。

 

サリーがプンプン怒りながら、石を蹴っ飛ばして歩いていると、

一人のおじいさんが近づいてきました。

 

何かあったのかい?

いや何も言わんでいいよ。顔を見たら全部わかるから。

そうだな、そんな時は、少し旅に出て面白いものを見てくるといいよ。

そういって、サリーの頭をポンポンと優しくたたきました。

 

その時、サリーはその心地よさに思わず目をつぶってしまいました。

甘ーいアプリコットの匂いがしました。

突然、頭がくらくらしました。

ただ耳鳴りがひどくて頭を覆ってしまったほど。

い、痛い!み、み、みみが。。。。。。

 

ようやく耳鳴りが収まって目を開けると、目の前の風景が前と違っています。

砂嵐のような風が吹いていて、一面灰色の景色しか見えません。

ただ、向こうの砂漠の中に、工場のような大きな建物が見えます。

道を間違えるはずないのにと思い、誰か人を探しましたが誰もいません。

その工場のそばに行ってみましたが、音もなければ誰かの声もしない。。。

 

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 窓からそおっと工場をのぞくと、たくさんの白い服を着た人が何かを食べています。

ガツガツ、むしゃむしゃ、ばりばり、夢中で食べ続けています。

何かと思ってみたら、大きな銀のさらの上に真っ黒な玉のようなものが乗っていました。それを次々にほおばっています。

 

いったい何を食べているんだろう?

変なところにきてしまったかなと、少し恐くなってきて、声を出してみました。

「あのうー、こんにちは。」

すると、一斉に、真っ白い髪の、真っ白い肌の人たちが、サリーを見つめてきました。全員が、食べるのをやめて、一斉に振り向いたのです。

 

「だれだーーー?ここは子供の来るところではないはずだぞ。」

何人かが話をしています。

「おい、どうする?生きてる子がやってきたぞ。」

「捕まえて食ってしまうか。」

「いや、まだ若すぎるよ。むこうに帰らせよう。」

 

一人の血の気のない、白髪のおばあさんが出てきて言いました。

「あんた、どうやって来たの?早く帰りなさい。二度とここに来てはいけないよ。ここのことも絶対しゃべったらいけないよ。」

 

「あのう、ここは何をするところなんですか?」

サリーは、恐る恐る聞いてみました。

「ここはねー、難しい話だけど、簡単に言うと人間の悪さを封じ込めるところなんだ。生きている間に、悪い心がたまってくるだろ。そのまま死んでしまった人たちから、悪い心を取り除いてやっているんだよ。」

 

「あの銀のお皿に乗ったものが、悪い心。ほら真っ黒だろ?他のやつが食べてしまえば、それで消えてしまうんだよ。」

「なんで、そんなことを?」

「決まってるだろ。新しく生まれ変わるための手続きだよ。人間の心はね、きれいになってやっと生まれ変われるの。」

 

そして、

「あんたの心には、まだ悪さの心はたまってないようだから、ここに来てはだめ。そろそろ行かないと、帰れなくなるかもしれないよ。」

 

おばあさんは、また工場の中に戻って行ってしまいました。

 

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すると、突然またアプリコットの甘い匂いが。。。そして激しい耳鳴り。

今度は、耳鳴りに交じってむしゃむしゃ食べる音が聞こえてきて、気持ち悪くなりました。思わず目をつむりじっと我慢をします。もう耳が痛くて何が何だか分からなくなりました。

 

時間がどのくらいたったのか、さっぱりわかりません。

はっと目を開けると、誰かが優しくサリーの頭をなでています。

あの、おじいさんでした。

 

気分はどうだね、見てきたかい?

あー、しゃべるなって言われてきたんだな。

わかったわかった。

みんな誰もが悪い心はもっている。

ただそれを取り除かないと、あとあと困るってことだな。

困るんならもともと持たないことだ。

人間は優しい心でできているんだからね。

 

もう家に帰りなさい。

悪い心をためないようにね。

 

そう言って、山の方に歩いて行ってしまいました。

 

とても、不思議な体験でした。

サリーの耳鳴りは、もうすっかり治っています。

 

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期間限定フィクションです。

それでは、Saludos!!!

 

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